投資の理論やノウハウとは直接は関係ありませんが、 オランダ人ジャーナリスト、ルドガー・ブレグマン著の「隷属なき道ーAIとの競争に勝つ ベーシックインカムと1日3時間労働」を読んでみました。
本ブログでも紹介しましたが、先月、マーク・ザッカーバーグがハーバード大学の卒業式スピーチで、アメリカにもベーシック・インカム(以下 BIと略します)を導入べきだと主張しました。それ以来、BIについての本を読んでみたいと思い、仕事帰りに本屋に立ち寄ったところ、偶然手にしたのが、この本です。
筆者は29才と若いジャーナリストで、カリフォルニアの名門大学、UCLAで歴史を専攻しており、歴史観を披露しています。過去の人類が抱いていた理想の世界、ユートピアは既に実現している。先進国だけでなく、途上国の生活水準も飛躍的に向上しており、我々は過去最高の繁栄の社会に生活しているのです。
その割には、幸福を感じられないのは何故か。筆者は、新しいユートピアのモデルを誰一人、提案できていないことに問題があると提起します。日本もそうですが、戦後の高度成長期の社会規範、社会モデルから脱却できていないことに、現代日本が抱える多くの問題が起因しています。
その一つの解決策になりそうなのが、筆者の提言するBIの導入による、一人一人の可能性がより活かせる社会ということになります。
統計的に調査すると、弁護士、コンサルタントといったプロフェッショナル職であっても、自分の仕事を「意味も重要性もないくだらない仕事」と自覚しているようです。私を含めて、多くのサラリーマンもそう思うのではないでしょうか。お金を稼ぐため、食べていくため、住宅ローンを返済するためには、長時間労働であっても、嫌な仕事であっても辞めるに辞められないという人は、多いのだと思います。
最低限の生活ができるようなBIが導入されると、人々は「仕事とは何か」「幸せとは何か」を問いかけるようになるはずだと筆者は主張します。そして、食べていくための「くだらない仕事」ではなく、自分のもつ可能性をより発揮するような仕事に就くはず、自分という枠を超えて、より社会の役に立とうとするはずだと、それがBIを導入する最大の意義ということになるのです。
日本のような、官僚組織が非常に強力な国で、国家が行なう福祉は不要、お金を直接配ればよいという考えが一般的になるには、相当時間がかかると思いますが、個人的にはBiを支持します。また欧州での、BIへの試験的取り組みに注目していきたいです。
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